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表情の認識力(怒った顔)

原語
facial-recognition
研究
フランス アンジェ大学

この研究のふむふむポイント

「怒ってるかな?」と顔色をうかがってしまうことはありませんか?

 「あの人機嫌悪そう。もしかして怒ってる?」なんて、顔色をうかがってしまうことはありませんか?「表情」は大切なコミュニケーション手段。人間は「作り笑い」など、状況に応じて表情を作ったりする場合もありますが、自然な表情のうち「怒り」「満足」は、ペットなどの動物とも共通して伝わりやすいのだそうです。

相手の「表情」を気分次第で間違って認識してしまう場合が!

 一方、表情を認識する側は、そのときの気分によって、例えば「笑顔」を「悲しい表情」などと、間違って認識してしまう場合があるのだそうです!表情の認識に気分が反映されるという良い例が「能」です。能面の表情は変化しませんが、舞台鑑賞をすると、場面に合わせていろいろな表情に見えますよね!

表情の認識力も遺伝型のタイプでわかる?

 表情の認識には遺伝が関わっていると以前から考えられていましたが、今回、フランスのアンジェ大学の研究グループにより、怒っていない顔を見て、「あの人怒ってるかも」と表情を間違って認識しやすい遺伝型があると判明しました。その遺伝型とは?

  • 2023年8月31日(木)12:00(正午)
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表情の認識力(怒った顔)についてもっと知る

「怒ってるかな?」と顔色をうかがってしまいませんか?

 「あの人怒った顔をしているような気がする…話しかけたいけれど、後でにしようかな?」こんな風に顔色をうかがってしまうこと、ありませんか?相手の表情から心の動きを知ろうとすることを「顔色をうかがう」と言いますが、感情や情緒を外見に表す「表情」は、言葉を使わないコミュニケーション方法の1つです。

 表情は、人間以外のいくつかの動物でも見られますが、人間は、自然な表情のほか、感情と切り離した「意図的な表情」も作ることができます。例えば、上司に嫌なことを頼まれても笑顔で答えたり、法事の最中におかしなことがあっても笑わないようにこらえるなど、社会性を保つために表情をコントロールしなければならない場面はよく起こります。とは言え、表情は本来、感情と密接につながっているものなので、「意図的な表情」を作るのはなかなか大変ですよね!

 ちなみに、「怒り」と「満足」の表情は、異なる動物の間でも特に正確に伝わりやすいと言われています。ペットを飼っているあなた、「なるほど!」と思い当たったりしませんか?

相手の「表情」を、間違って認識してしまう場合がある!

 表情は、主に「目、口、眉」の「形、位置、角度」などの小さな変化によって作り出されるものです。これまでの研究で、うつ病などの「気分障害(感情障害)」と呼ばれる病気の人では、特定の表情が正しく認識できない場合があると分かっています。

 病気は極端な例ですが、実は表情の認識には、顔の小さな変化を捉える力に加えて、そのときの気分も反映されると知られています。
 例えば、自分が幸せと感じ、「世の中バラ色!」なときには、「悲しみ」の表情もときにはうれしそうに見えてしまうことがあり、逆に落ち込んで「世の中真っ暗…」なときには、ほほ笑みも悲しそうに見えてしまうことがあるのだそうです。「あの人怒っている気がする・・・けど、実は全然怒っていなかった!」という経験がある方、もしかしたら、「何か怒られるかも・・・」という不安な気分が影響しているのかもしれませんね!?

「能面」は無表情ではなかった!

 表情の認識に気分が反映されるという分かりやすい例が、日本の伝統芸能である「能」です。能で用いられる「面(おもて)」は、舞台の最初から最後まで変化しませんが、実際の上演では、「喜び」「悲しみ」など、さまざまな表情をしているように見えます。これはまさに、ストーリーから感じ取った感情を、面に重ねて表情として認識している状況なわけです。

 能面に関して、最近日本の研究者によって報告された、実に日本らしく、おもしろい研究があります。
 能の世界では、「喜び」を表現する場合には面を上向きに、「悲しみ」を表現するときには下向きにするというルールがあるそうです。ところが、能に親しみのない大学生が面の表情をどう認識するか調べたところ、上向きを「悲しみ」、下向きを「喜び」と判断する人が結構いたそうです。
 その原因を探ろうと、研究グループが調べた結果、能面は、顔のパーツごとに、いろいろな表情の角度が混ざっている、専門的には「情動キメラ」と呼ばれる状態になっていると分かりました。例えば、上向きだと眉と口が悲しみ、目は喜びになっており、下向きだとそれが逆転するという感じになっていたそうです。つまり「無表情」の代名詞として「能面のような…」と使われる能面は、実は無表情ではなかったわけです。
 この報告では、日本人は表情の認識に口の形を重視するようだと考察していますが、いずれにせよ、能の舞台鑑賞では、ストーリーに応じて表情を認識しているのだと、この結果からも再確認できたと言えますね!

「あの人怒ってるかも」と間違って認識してしまいやすい遺伝型が!

 表情に関連する病気の研究などにより、他人の表情の認識には遺伝が関わっていると以前から考えられてきました。今回、フランスのアンジェ大学を中心とした研究グループは、表情の認識に関連しているSNPを見つけ出そうと考えました。

 研究の結果、rs4680が「A」である人は、「無表情」を間違えて「怒り」と認識する傾向が強いと分かりました。さらに、このSNPの遺伝型を見た結果、「A」の数が1つよりも2つである方が、「怒り」と間違えて認識する傾向がより強い、つまり、怒っていない人を「怒っているかも・・・」と思ってしまうことが多いということです。

 rs4680というSNPは、AA、AG、GGの3つの遺伝型に分けられます。

日本人平均と比べると

・AAの遺伝型を持つ人は「表情の認識が苦手なタイプ」
(無表情を「怒った顔」と間違いやすいタイプ)
・AGの遺伝型を持つ人は「表情の認識がやや苦手なタイプ」
(無表情を「怒った顔」とやや間違いやすいタイプ)
・GGの遺伝型を持つ人は「表情の認識がやや得意なタイプ」
(無表情を「怒った顔」と間違いにくいタイプ)

という遺伝的傾向を持っているといえます。

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研究の詳しい内容を見る

 フランスのアンジェ大学を中心とした研究グループは、18歳~55歳の健康な白人(薬物中毒歴、頭部外傷歴、精神神経障害の疑い等がない人)275人を対象に、「表情認知テスト」と呼ばれる測定検査を行いました。

 このテストには、さまざまなやり方があるのですが、今回は、ディスプレイ上に数秒単位で次々と表示される顔の写真を見て、「恐れ」「怒り」「悲しみ」「喜び」の4つの感情および「無表情」のどれに当てはまるかを答えていってもらいました。
 1回のテストで表示された顔の画像は全部で80枚。そのうちの60枚は4つの感情のどれかを表す顔で、残りの20枚は無表情とし、これらをランダムに表示させていきました。また、表示する顔の写真は、男性3人、女性3人、合計6人のものを用意し、判断に偏りが生じないようにしました。さらに、写真は「モーフィング」と呼ばれる画像処理技術で、それぞれの表情が25%(弱)、50%(中)、100%(強)になるようなものを用意し、例えば全てが100%の笑顔ではなく、25%程度の弱い笑顔なども織り交ぜたものについて判断してもらう形にしました。

 一方で、対象者全員につき、COMT遺伝子に存在するSNP「rs4680」の遺伝型を調べ、その遺伝型と表情認知テストの結果に関連があるかどうかを統計学的に解析しました。
 グループは研究を進める過程で、「COMT」という遺伝子に存在する「rs4680」というSNPに着目しました。なぜグループがこのCOMT遺伝子に注目したかというと、COMT遺伝子から作られる酵素は、感情に関わる脳内物質「ドパミン」の分解に関わっており、rs4680が「A」であると、この酵素の働きの強さ(活性)が弱くなると知られていたからです。
 その結果、このSNPが「A」である場合、特に「AA」の遺伝型は「GG」に比べて顕著に、「無表情」を「怒り」と間違って認識する割合が高いという結果が得られました。

対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。

  • 表情認識苦手
    8.4%AA
  • 表情認識やや苦手
    41.2%AG
  • 表情認識やや得意
    50.4%GG
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参考文献

Genetic modulation of the response bias towards facial displays of anger and happiness

The mysterious noh mask: contribution of multiple facial parts to the recognition of emotional expressions.

『読顔力 コミュニケーション・プロファイルの作り方』 佐藤親次/蓑下成子 (小学館)

写真提供:ピクスタ

【対象SNP】rs4680

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