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食の好み -スパイシーな食べ物-
- 原語
- spicy-foods
- 研究
- 英国 エディンバラ大学
この研究のふむふむポイント
「辛い」と「熱い」と「痛い」は同じ刺激
唐辛子などに含まれる辛味成分であるカプサイシンが、舌の辛味センサーに到達すると、脳に情報が伝わり痛みとして認識されます。
カプサイシンにはどんな効果があるの?
脳内のアドレナリンの分泌が活発になり体温が上がるため、発汗や脂肪の燃焼が促進されます。
辛いものが得意かな?苦手かな?遺伝子で好みが変わる
英国のエディンバラ大学の研究グループによると、rs17149723というSNPに「A」を持っていると、「G」を持つ人よりもカプサイシンを含むスパイシーな食べ物を好む傾向にあるそうです。
食の好み -スパイシーな食べ物-についてもっと知る
「辛い」と「熱い」と「痛い」は同じ刺激
舌の表面には唐辛子などに含まれる辛味成分であるカプサイシンを感知するセンサー(TPRV1)が存在します(※1)。研究によると、このTPRV1センサーは、カプサイシンのみならず、43℃を超える温度でも活性化されることがわかっています(※2)。カレーや担々麺等の辛い食事の温度は43℃を超えていると考えられることから、カプサイシンを摂取することで「辛く」なり、さらに「熱い」「痛い」に対する感覚も活性化されて感じることになるのです。日本語の「辛い」が英語で“hot”と形容されるのは科学的にも正しいことなのですね。
カプサイシンにはどんな効果があるの?
カプサイシンは、交感神経の活性化や脂肪代謝の促進などの作用があり、エネルギー代謝に影響を与える食品成分として注目されています。ラットを用いた実験では、カプサイシンの長期投与が、体脂肪の蓄積を抑制することが報告されています。カプサイシンによって褐色脂肪組織でのエネルギー代謝が活発になり、体熱産生が増加することで、体重と体脂肪が減少すると考えられています(※3)。
このような生理作用を有する一方で、カプサイシンは強い辛味のために、必要量を摂取するのが難しい場合があります。近年、カプシエイトという無辛味でありながらカプサイシンと同等の生理作用を有する類縁体が見つかってきています(※4)。
辛いものが得意かな、苦手かな?遺伝子で好みが変わる
このような性質を持つカプサイシンを好むかどうかに、遺伝的な関連があることが分かりました。
英国のエディンバラ大学アッシャー研究所グローバルヘルス研究センターを中心としたグループによる研究の結果、rs17149723というSNPに「A」を持っていると、「G」を持つ人よりもカプサイシンを含むスパイシーな食べ物を好む傾向にあることが明らかになりました(※5)。
rs17149723にはAA、AG、GGの遺伝型があり、日本人平均と比べると
・AAの遺伝型を持つ人は「スパイシーな食べ物が好きなタイプ」
・AGの遺伝型を持つ人は「スパイシーな食べ物がやや好きなタイプ」
・GGの遺伝型を持つ人は「スパイシーな食べ物が好きではないタイプ」
という遺伝的傾向を持っていると言えます。
研究の詳しい内容を見る
英国のエディンバラ大学アッシャー研究所グローバルヘルス研究センターを中心とした研究グループは、UKバイオバンクの参加者161,625人を対象に、食べ物の好みに関するゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、11の独立したコホート(集団)で最大26,154人の解析結果を検証しました。
食べ物の好みは、遺伝的要因、生物学的要因、心理学的要因、環境的要因、および文化等、複数の影響を受ける複雑な特性と考えられています。
この研究では、139の食品を①デザートや肉など多くの人が好む食品、②野菜や果物などの低カロリーの食品、③無糖コーヒーやアルコールなどの後天的に好むようになる食品、④甘いカフェイン飲料の4グループに分け、アンケート調査を行いました。アンケートでは1を「非常に嫌い」、9を「非常に好き」の9段階で評価しました。
次にGWASを行い、遺伝的相関と表現型を比較しました。その結果、遺伝型と食べ物の好みの間に高い相関関係があることがわかりました。
遺伝型との関連解析の結果、8番染色体上のSGK223遺伝子のイントロンに存在するrs17149723というSNPが、スパイシーな食べ物の好みと関連していました。SGK223遺伝子はtyrosine protein kinase familyに属する酵素をコードしています(※5)。
この研究の結果から、遺伝型とさまざまな食べ物の好みとの関連性を検証することで、食べ物の好みが文化や個人の感覚に根ざしているだけでなく、遺伝的な要素にも起因することがわかりました(※5)。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- スパイシーな食べ物が好き
- 0.0%AA
- スパイシーな食べ物がやや好き
- 3.7%AG
- スパイシーな食べ物が好きではない
- 96.2%GG